路上ライブ時代のお客さんの話

路上ライブ時代のお客さんの話

もう7年以上前の話。

昔、ストリートライブをやっていたころ。

昼夜問わず、1日6~7時間平気で演奏していたので、そりゃあもう色んな方と出会う訳です。

 

沢山いる中でも、印象に残る存在というのがちらほらといる。

昼間に出会った障がいを持った方だった。

 

大体昼の14時ごろになると、たまに天神大画面前に現れて、車椅子に乗って演奏を聞いてくれる。

見た目40歳過ぎくらいの女性の方。

 

身体障害で、麻痺があるから口があまりまめってないけどコミュニケーションは取れる。

毎回100円玉を入れてくれる、優しい方。僕はかずえさんって呼んでた。

 

しばらく見なかったかずえさんが久々路上に現れた。

元気してたか聞いたら、どうやら落ち込んでる様子。

"仕事で嫌なことがあった"と。

 

かずえさんとお茶しながら色々聞いた。

ファミレスで働いてて、何年経っても清掃・片付けしかさせてもらえないらしい。

店長から"お客さんの前に立ったらみっともないから"という雰囲気がひしひしと感じるんだって。

本人は接客したいのにね。

 

お茶終わったあと急に泣き出してビックリした。

障害のせいで友達おらんから、誰かとお茶行くことが嬉しかったって。

奢ってもらったことなんて初めてなんやと。

 

障害で口がまめらん、足が動かんだけで人としても扱ってもらえんって想像つくか?

僕なんかよりずっと強いよ。理不尽な世の中で頑張って生きてるんやもん。

心はどんな健常者よりも丈夫で綺麗だよ。

 

路上ライブをやめたから、かずえさんと会うことも無くなったけど、元気かな。

 

障がい者も色んな形がある。

お金がないのに毎回チップをくれる方。

白紙に「500円」って書いて渡してくる可愛いことしてくる方。

逆にお金パクってくる方。笑

 

多様だけど、一緒に生きてるこの世の仲間。

みんながんばろな。